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ツビッキー

 

よみ方

つびっきー

英 語

Zwicky, Fritz

説 明

フリッツ・ツビッキー(Fritz Zwicky; 1898-1974)はスイス国籍の天文学者。ブルガリアで生まれ、スイス連邦工科大学で学位を得た後、1925年に米国に渡りカリフォルニア工科大学で教鞭を執った。1942年から天文学の教授。

超新星の観測と分類を精力的に行い、1934年にバーデ(W. Baade)とともに「超新星」という言葉を初めて使用、白色矮星中性子星との関係を示唆した。ウィルソン山天文台パロマー天文台の望遠鏡を使って銀河銀河団の研究を行った。1937年には、かみのけ座銀河団のメンバー銀河の運動と明るさの観測から、はじめて、現在言うところのダークマターの存在を示唆した。1943-49年にはロケットの研究に携わり50もの特許を取得した。

1961年から68年にかけて、共同研究者とともに、パロマー天文台スカイサーベイ写真乾板の眼視検査から、約28,000銀河と9700銀河団を検出し、それらを記録した6巻のカタログ、「Catalogue of Galaxies and Clusters of Galaxies: CGCG)」を刊行した。CGCGと略称されるこのカタログには15.5等級より明るい銀河はほぼ全て含まれるという高い完全性を有していたため、21世紀になって新たな銀河サーベイが出現するまで30年近く観測的宇宙論研究の基礎データとなった。

 

参考:https://www.nature.com/articles/d41586-019-02603-7

 

2024年03月16日更新

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    * 6巻からなるCGCGカタログ。東京大学理学部天文学教室所蔵のもの。(撮影 岡村定矩)
    * CGCGカタログの頁の例。パロマー天文台スカイサーベイの写真乾板一枚毎に、銀河(明るさにより記号が異なる)の位置と銀河団の位置と広がりが図示され、その情報がカタログとして記載されている。
    (作成 岡村定矩)
    フリッツ・ツビッキー(1971年)
    カルテク・イメージアーカイブより
    https://digital.archives.caltech.edu/collections/Images/10.12-64/