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X線バースト

 

よみ方

えっくすせんばーすと

英 語

X-ray burst

説 明

X線バーストは数秒から数十秒の間、X線で爆発的に輝く天体現象である。X線バーストを発生させる天体をX線バースターという。典型的なバーストの間隔は数時間から1日の範囲にある。バーストのスペクトル黒体放射のスペクトルによく合う。黒体の温度はバーストのピーク時で(2-3)x107 Kに達し、X線強度が弱くなるにつれ温度も下がる。1回のバーストで放出されるエネルギーは、1032 J(ジュール)にも及ぶ。その起源は中性子星の表面に降り積もった水素やヘリウムを主体とするガスの爆発的な核融合反応である。このような爆発を起こすには質量降着率が低いことと中性子星の磁場が弱いことが必要条件である。したがってX線バースターは比較的X線が暗く、年老いた中性子星と小質量星からなる連星系である。アウトバーストも参照。

2023年04月18日更新

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    X線バーストの時間変化 (4U 1728-34)。1-2秒で最大光度に達し、10秒ほどで減衰する。挿入図はX線バーストのパワースペクトル。準周期的振動であることから、このX線バースターの正体が小質量星と低磁場中性子星との近接連星系であることがわかる。
    柴崎徳明「中性子星への質量降着」、シリーズ現代の天文学第8巻、小山・嶺重編『ブラックホールと高エネルギー現象』 2.4節 図2.20(日本評論社)
    (原図はT.E. Strohmayer et al. 1996, Astrophysical Journal , 469, L9)