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スペクトル線

 

よみ方

すぺくとるせん

英 語

spectral line

説 明

スペクトル中の輝線吸収線を合わせた呼び名。原子中の電子が2つのエネルギー準位の間を遷移するときに生じる。光子からエネルギーを吸収すると低い準位にあった電子が高い準位に遷移する。逆に、電子が高い準位から低い準位に遷移する場合は光子を放出する。いずれの場合も光子のエネルギーは、2つの準位間のエネルギーの差に等しいので、決まった波長の光を吸収したり放出したりする。同じ原子であっても、エネルギー準位には複数のものがあるので、スペクトル線の波長も複数あるが、どれもその原子固有の波長である。原子が異なれば異なる波長のスペクトル線が生じる。このため、スペクトル線の波長がわかれば、どの原子がそのスペクトル線を生じたのかがわかる。輝線と吸収線のどちらが観測されるかは、光源、物質(ガス)、および観測者の位置関係による。

2020年07月23日更新

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    スペクトル線の発生メカニズムの概念図
    富永裕久「図解雑学元素」(ナツメ社)
    * 連続スペクトルとスペクトル線。
    池内了「現代宇宙観までの道のり」、シリーズ現代の天文学 第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版 1章 図1.19 口絵3(日本評論社)