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グリニッジ王立天文台

高

よみ方

ぐりにっじおうりつてんもんだい

英 語

Royal Greenwich Observatory

説 明

1675年にイギリス国王チャールズ2世によってロンドンの郊外グリニッジに設立された天文台。グリニッジ天文台と呼ばれることが多い。大航海時代にあった当時、外洋における船の位置を天文観測から測定し、航海術の進歩の基礎とすることも重要な目的であった。王室から雇用された初代台長はフラムスティード(J. Flamsteed:1646-1719)で、以降台長は王室付天文学者(Astronomer Royal)の称号を与えられる慣例が1971年まで続き、イギリス天文学の中心となった(1972年以降はAstronomer Royalの称号は名誉称号となり天文台長とは必ずしも一致しない)。
1884年にワシントンで開かれた万国子午線会議で、グリニッジ天文台の子午儀を通る子午線を地球の経度の基準である本初子午線(prime meridian)とすることが定められ、グリニッジは経度とともに世界の時刻の基準ともなった(世界時を参照)。
その後1948-58年にかけて、ロンドンの市街光を避けるため、天文台はグリニッジの南南東70kmにあるハーストモンソー城へ移転しRGO(Royal Greenwich Observatory)の名称となった。1967年には口径2.5mのアイザックニュートン望遠鏡(INT)を建設したが、1979年にINTはカナリー諸島のラパルマ島に移設された。グリニッジ天文台は、イギリス天文観測の新たな拠点として、この島のロークデロスムチャーチョス天文台に、口径4.2mのウィリアムハーシェル望遠鏡(WHT)を建設した。その後、1988-90年にかけて、RGOはハーストモンソー城からケンブリッジ大学構内に再移転し、国家的リストラが進む中1998年10月31日をもって、320年あまりの歴史に幕を閉じた。現在、グリニッジにある旧天文台の建物は博物館となっており、本初子午線は中庭にステンレス貼りの溝とレーザー光線で示されている。かつてRGOが行っていた保時・報時および航海暦の編集は、RGO閉鎖後、英国航海暦局(Her Majesty's Nautical Almanac Office)に引き継がれている。
参考ホームページ:
https://www.rmg.co.uk/discover/explore/royal-observatory-Greenwich
http://www.royalobservatorygreenwich.org/articles.php?article=0

2022年04月21日更新

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    グリニッジにある旧天文台の建物。屋根の上に報時球が見える。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Royal_Observatory,_Greenwich
    ハーストモンソー城のそばに移転したRGO
    (提供 岡村定矩)
    ケンブリッジ大学構内に移転したRGO
    (提供 岡村定矩)