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視線速度

高

よみ方

しせんそくど

英 語

radial velocity

説 明

天体の空間運動速度の視線方向成分。ドップラー効果によるスペクトル線のずれから測定できる。観測者から遠ざかる向きを正(赤方偏移)、近づく向きを負(青方偏移)と定義する。

天の川銀河銀河系)内の恒星に対しては地球の公転運動の補正を行う。銀河の視線速度に対しては、銀河系の回転と局所銀河群中での銀河系の運動の補正を行う。銀河の赤方偏移から求められる視線速度は、大部分が宇宙膨張に起因する見かけ上の速度(後退速度)で、それに比べると、銀河の空間運動(特異運動)の速度に起因する成分は、銀河系のごく近傍の銀河以外では無視できるくらい小さい。

2024年01月11日更新

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    * 星の空間速度、視線速度、接線速度、固有運動の説明図。
    郷田直輝「宇宙における距離の測定」、シリーズ現代の天文学第1巻、岡村・池内・海部・佐藤・永原編『人類の住む宇宙』第2版 2.4節 図2.14(日本評論社)
    * 恒星に対する基本的な観測量の概念図 (作成 岡村定矩)