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プランク衛星

 

よみ方

ぷらんくえいせい

英 語

Planck satellite

説 明

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が打ち上げた宇宙マイクロ波背景放射を観測するための人工衛星。名前は1918年にノーベル物理学賞を受賞したドイツの科学者マックス・プランク(M. Planck)にちなんでいる。2009年5月14日にハーシェル宇宙天文台とともに打ち上げられた。プランク衛星は、太陽と地球の作るラグランジュ点の一つであるL2点近傍を軌道運動し、搭載された2台の装置(低周波数装置(LFI)、高周波数装置(HFI))により30 GHzから857 GHzにわたる宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎを、それまでにない高感度(10-6) と高い角分解能(5分以上)で2012年まで精密測定した。
プランク衛星チームは2013年に最初の結果を発表したが、天の川銀河銀河系)をはじめとする様々な天体からのノイズや測定装置自身のノイズの影響などを注意深く調べて、精度の高い結果を出すためのデータ解析作業を継続した。2015年に再度結果を公表した後も作業を継続し、2018年8月にプロジェクトしての12本の最終論文を公表した。
宇宙論パラメータに関する最終論文では、宇宙の構成要素の割合として、
(バリオン:ダークマター:ダークエネルギー)=(0.05:0.26:0.69)、
また、ハッブル定数は、H0=67.7 km/s/Mpc 、宇宙年齢は138億年の値が得られている。
(ただし、これはプランク衛星のデータに加えて他の観測データも含めて総合的に解析した結果である。また、論文では有効数字はもっと多いがここでは一部省略した。)
COBE衛星WMAP衛星も参照。
プランク衛星チームのホームページ:
https://www.cosmos.esa.int/web/planck
ヨーロッパ宇宙機関のプランク衛星のホームページ:
https://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Planck

2023年04月20日更新

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    プランク衛星の想像図
    https://www.nasa.gov/mission_pages/planck
    プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎの全天マップ(2018年版)。実線で囲まれた部分は銀河系内天体による前景放射の影響が無視できない領域。
    https://www.cosmos.esa.int/web/planck/picture-gallery
    プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射のパワースペクトル(2018年版)。上段は温度ゆらぎ、中段は温度と偏光の相互相関、下段左はEモードの偏光、下段右は重力レンズポテンシャルに対するパワースペクトル。
    https://www.cosmos.esa.int/web/planck/picture-gallery
    プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎのパワースペクトル(2018年版)。(上の最上段の図に軸の説明を加えたもの)