天文学辞典 :ASJ glossary of astronomy | 天文、宇宙、天体に関する用語を3200語以上収録。専門家がわかりやすく解説します。(すべて無料)

New

ローレンツ線輪郭

 

よみ方

ろーれんつせんりんかく

英 語

Lorentz line profile

説 明

スペクトル線輪郭の成分の一つで、減衰部に対応するもの。ハイゼンベルク(W. Heisenberg)の不確定性原理によるスペクトル線の広がり(自然幅)や、スペクトル線形成に関わる原子(あるいはイオンや分子)と他の原子などとの衝突によるスペクトル線の広がり(圧力幅)はこの輪郭によって記述される。ガウス分布(正規分布)で表されるドップラー線輪郭に比べると波長に対して緩やかに減少するため、減衰部(スペクトル線の翼部)で重要になる。 フォークト輪郭も参照。

2019年09月13日更新

この用語の改善に向けてご意見をお寄せください。

受信確認メール以外、個別のお返事は原則いたしませんのでご了解ください。

    関連画像

    画像をクリックすると拡大されます

    *(a)フォークト輪郭の例。スペクトル線輪郭のドップラー部に対応するガウス関数と輪郭部に対応するローレンツ関数(太い線)、およびその両方がたたみ込まれた場合(細い線)。図に示すσはガウス関数の標準偏差,γはローレンツ関数のスケールパラメータ。
    *(b)太陽に見られる吸収スペクトル線の線輪郭の例。この中性マグネシウムによる吸収線は非常に強く、中央のドップラー部に加えて減衰部の吸収も発達している。
    岡村・家・犬塚・小山・千葉・富阪編『天文学辞典』、シリーズ現代の天文学別巻(日本評論社)p. 358