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グレートアトラクター

 

よみ方

ぐれーとあとらくたー

英 語

Great Attractor

説 明

天の川銀河銀河系)の中心に近い方向(銀経307度、銀緯+9度)で後退速度4350±50 kms-1ハッブル定数を75 kms-1Mpc-1とすると距離約60 Mpc=2億光年)の位置にあり、局所超銀河団の銀河を引き寄せている巨大な高密度領域。巨大引力源とも呼ばれる。銀河の大集団と考えられる。1988年にリンデンベル(Lynden-Bell)達が全天の400個の銀河の特異速度の解析からその存在を指摘した。質量は太陽質量の5x1016倍と推定された。この方角は銀河系の強い吸収(不透視帯)によって可視光では銀河の分布を詳しく調べることができない。その後、吸収の影響が少ない近赤外線を含めて多くの銀河サーベイが行われ、確かにこの位置あたりに高密度領域があることが示唆されているが、その詳細は分かっていない。
近年ラニアケア超銀河団を発見したタリー(R. B. Tully)らの解析でも、銀河の特異運動の流線がこの領域に収束していることが示されており、高密度領域がこのあたりにあることは確実と思われる。

2019年08月25日更新

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    16等程度より明るい銀河の天球上の分布。グレートアトラクターの方向(銀経307度、銀緯+9度)を中心にした半球を等積図法で描いた図。下の矢印の間隔は10度。V, C, H, Aはそれぞれ、おとめ座銀河団、ケンタウルス座銀河団、ヘルクレス座銀河団、ポンプ座銀河団を示す。中心付近は銀河系の不透視帯の影響で銀河が見えないが、ケンタウルス座銀河団近くに銀河が多いことが分かる。
    出典:リンデンベル達の発見論文 Lynden-Bell et al., 1988, Astrophysical Journal, 326, 19
    2ミクロン全天サーベイ(2MASS)で得られた150万個以上の銀河と約5億個の恒星の天球上の分布を示した図(銀河座標系)。恒星は図の中心を通る水平な横から見たレンズの形をしているが、これは銀河系を真横から見た姿である。主な銀河団の名称と距離あるいは赤方偏移z(括弧内に示された数値)が示されている。銀河は赤方偏移に従って色づけされている。青/紫色は近傍(z < 0.01)、緑色は中間的な距離(0.01 < z < 0.04)、赤色は2MASSの観測限界に近い遠方 (0.04 < z < 0.1)の銀河である。グレートアトラクターの領域は、右下のNorma & Great Attractor とある所から出ている矢印で示されている。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2MASS_LSS_chart-NEW_Nasa.jpg
    元の出典は
    "Large Scale Structure in the Local Universe: The 2MASS Galaxy Catalog", Jarrett, T.H. 2004, Publ. Astron. Soc. Australia, 21, 396