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ディッケ放射計

 

よみ方

でぃっけほうしゃけい

英 語

Dicke radiometer

説 明

ディッケスイッチを用いて、雑音発生器からの強度が既知の雑音と測定対象との比較を行うことで電波強度を測定する装置。受信機の利得変動の影響を小さくできる。ただし、この効果が有効に働くには、2つの入力の強度がほぼ等しい(理想的には完全に一致する)必要がある。したがって、測定すべき信号とほぼ等しい雑音信号を安定した強度で発生させる雑音源が必要となる。電波天文学の場合には、天体からの信号よりも、受信機や地球大気が発生する雑音の方がずっと大きいため、ディッケ放射計で用いる雑音源の強度は天体によらず一定の物を用いても十分に機能する。

2018年04月01日更新

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    関連画像

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    2種の放射計の構成図
    トータルパワー放射計(上)とディッケ放射計(下)の構成図。トータルパワー放射計では受信機が生じる雑音も増幅されるため、TA≫TRXである必要がある。一方、ディッケ放射計では入力の切替と同期して位相検波器(Phase Sensitive Detector)によって両者の差を出力する。このため、TA≅TLならば、受信機利得Gの変動の影響を小さくできる。